赤髪の彼
「でも、悪口いわれたからってこうやって怒りをむき出しにするのは初めてだって」


「…え?」



どうして、そんなことするの?
あたしのこと好きでもないくせに。
また期待しちゃうからやめてよ。



「君、高校生だね?高校は?」



警備員が玉田くんから西島くんを離す。



「今度は本気なんだな」



玉田くんが痛そうな顔をしながらふっと笑う。



「…そうだな」



なんて西島くんも答えちゃうからあたしの心は爆笑寸前だよ。



「来なさい」


って警備員に連れられてく西島くん。



「に、西島くんっ!」


「待っとけ」



ただ一言だけ言って、彼は警備員と歩いて言った。



「ほんとにすきなんだなぁ。あゆちゃんのこと」


「え、そうなのかな…」



さっきの姿を見ていなければ〝そんなはずない〟って思っただろう。



「ここで待つ?」


「うん。2人は回っておいでよ。あたしは西島くんを待ちたいから」



好きな人を待ちたい。
ただそれだけ。

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