たったひとつの愛を君に



話し終えた私に、蜂は

「怖かったな。辛かったな。ごめんな、俺が来るのが遅れたばっかりに。寄り道なんてせずに来れば良かった。ごめん。」

蜂が謝ることなんかないのに。

悪いのはあの男なのに。

「けどな、俺その男が誰か見たんだ。俺が家に着く頃、丁度この家から出て来た男が見えた。」

私はその言葉を聞いてびっくりした。

犯人が分かるかもしれない。

分かったところでどうこう出来るとは限らない。

それでも何か罰せられるかもしれない。

そう思い蜂の言葉を待った。


< 285 / 322 >

この作品をシェア

pagetop