星空を見上げて
「この年でパジャマパーティするとはね」
とパジャマ姿で缶ビールをぐびぐび飲みながら桐沢さんは呟いた
「あの圭介さんのこと入社当時から知っているんですよね」
「うん私と新城くんは同期でね、本社の入社式で知り合ったのよ
その後一緒に色々な課を渡り歩いたけど
どこに行っても呑み込みが早くて同期の中では1人群を抜いていた
その頃から既に注目を浴びていたんだけどまさか社長の息子だとは知らなかった
研修終了後は北海道と東京にそれぞれ配属が決まって
もう会うことも無いんだろうなって思ってたの
そしたら去年支社長としてやってきたから驚いたわ」
「桐沢さんはずっと北海道なんですか?」
「冴子でいいわよ
私は入社当時からずっと北海道よ、でもそれもあとちょっとなんだけど」
「あとちょっと?」
「実は今月いっぱいで退職するの」
「ひょっとして結婚とか?」
「うん」
「おめでとうございます」
「有難う」
「仕事を辞めるってことは家庭に入るんですか?」
「今まで彼に甘えてきたから今度は私が彼を支えたいと思って
彼は今までどおり仕事続ければって言ってくれたんだけど
両立は私には無理だから」
「圭介さんは知ってるんですか?」
「この間話した
すごく喜んでくれたけど寂しくなるなって言われたわ」