星空を見上げて
お店をでると約束の時間まであと少しだった
急ぎ駅に行くと既に日下部さんは来ていた
私が彼に近づくと向こうも気がついたようでこちらに歩いてきた
「遅くなってすみません」
「いや時間前だから大丈夫だ、じゃあどこか入ろう」
「はい」
そういうと駅前にある一軒のファミレスに入った
私たちは飲み物だけオーダーすると店員が下がるのを見て話しだした
「この間の返事ですけど私は日下部さんとやり直すことはできません
他に好きな人がいるんです」
「新城さんだろう?」
私が目を見開くと
「葵の新城さんを見る目で分った、ああ葵は彼が好きなんだって
それでも俺は諦めたくなかった
返事は何となく分っていたけどあの場では答えてほしくなかったんだ
だが先延ばしにしても変わらないのにな」
日下部さんは力なく笑った
「葵が北海道で行方不明になった時ものすごく悔んだ
一緒に行ってれば葵は事故に会うこともなく記憶喪失にもならなかった
きっと2人で北海道の街を歩いていたかもしれないのに」
「仕事だったんだから仕方ないですよ」
「葵のいうとおりキャンセルして次の機会にしていたらよかった
だが次の機会がいつ来るかも分らないのにキャンセルしたくなかった
全部俺が招いた結果だ」
「そんなに自分を責めないで涼くんは私のためを思ってしてくれたんでしょう?
私嬉しかったんだよ」
「!?」涼くんは思いっきり目を見開き私をみた
「葵、今涼くんって・・まさか」
「うん、思い出したの全部」