星空を見上げて
S駅にはかなり早く着いた
約束の時間までまだ1時間と少しある
どうしようかなと思っているとふと思い出した
・・・・・
ドアを開けるとあいかわらずコーヒーの良い香り
「マスターこんにちは」
マスターは私の顔を見るとぱあっと笑顔になった
「葵ちゃんいらっしゃい」
「さっそく来ちゃいました」
「大歓迎だよ、何する?」
「オリジナルお願いします」
「了解」
そういうとサイフォンにお湯を入れ、作り始めた
その後どう?と聞かれたので
「実はあのあと全部思い出したんです」
「えっ記憶戻ったの?」
「はいマスターのこともしっかり思い出しましたよ、色々と」
「あちゃー恥ずかしいことは思い出さなくてもいいのに」
くすくす笑っていると
「でも良かったよ
このまま思い出せないんじゃないかって心配だったから」
「ご心配かけました」
「はいオリジナルお待たせ」
「有難うございます」ひとくち飲む、ああマスターの味だ
「マスター」
「ん?」
「私3日後北海道に帰ります」
「そうか、じゃあもう会うこともないかもしれないね」
「北海道に来ることがあるときは教えてください
その時は私が北海道の街を案内しますから」
「そうだね、その時を楽しみにしてるよ」
そのあとも色々話しながらマスターの淹れてくれたコーヒーを楽しんだ
「それじゃマスター」
「うん元気でね」
急がしいにも関わらずマスターはお店の外まで見送ってくれた
私は深くアタマを下げるとお店をあとにした