年下彼氏と甘い恋
そうなのだ。
陽太が美女と歩いているところを何回も見たことがある。
美女と陽太の家に入っていくところだって見た。
これはとぼけようもない事実……なのに、
「里佳子と付き合う予行練習だよ」
陽太は意味不明なことを言い始める。
意味不明すぎて思わず
「予行練習?」
聞き返した私に、楽しげに陽太は告げた。
「だって……ほら、里佳子は経験豊富な年上がタイプでしょ?
俺も里佳子に年下ってナメられないくらいオトナになっておかなきゃ」
相変わらず意味不明だ。
そして、
「そういう考えが子供なんだよ」
ため息混じりに言ってしまった。
「だいいち、酷くない?
私の恋は邪魔しておいて、自分だけ彼女作っていい思いして」
陽太は勝手だ。
彼氏がいないことを、私はこんなに悩んできたのに。