aventure
波瑠と凪
鴻は家に居るのが好きじゃない。

四年前からずっとこの家に帰りたくないと思ってる。

「パパ、お帰り。」

だけど娘の凪の笑顔だけが鴻にとっての救いだ。

「ただいま。

波瑠はまたバイトか?」

「うん。

お兄ちゃん、今日は夜中になるって。」

息子の波瑠はほとんど家に居ない。

息子のとの仲は他の父と息子に比べたら悪い方じゃないが
波瑠が帰りたくない理由は鴻の妻の翠にあった。

翠は四年前、凪を迎えに行くと言って家を出て
寄り道をして凪を待たせた。

凪が待ってる間に起こった事を知らずに
20分遅れてその場所に行った。

凪の姿はなく、周りを探しても見つからず
派出所に届けて探してもらった。

凪はそれから4時間後、身体にいくつかの傷を負ってその場所から少し離れた場所で見つかった。

凪の身に起こったことはとても許せる事じゃなかった。

鴻はその事で翠を責めた。

翠はただ謝っていたが、
何をしていたか鴻がいくら問い詰めても
答える事が出来なかった翠に不信感を持った。

後に翠が自分の後輩の三枝永太と逢っていた事を知って
鴻の怒りは爆発した。

翠と別れようと思ったが
凪がこれ以上傷つくのを恐れて夫婦という形態を壊さずにいるが
鴻はずっと翠を許せないままだ。

凪は夫婦仲が自分のせいで壊れないようにと
一生懸命笑っている。

そんな凪が可哀想で鴻は凪の前ではいつも笑顔を作った。




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