aventure

Liar

桜智は波瑠に捕まって逃げなくてはと思う一方で
ホッとしていた。

「桜智、どこにいるの？

どうして姿を消したんだ？

結美に金借りたってどういう事？」

波瑠は桜智が答える間も与えず質問してくる。

桜智は波瑠に心配されることが嬉しくて
安心したのか何も答えられず泣いている。

波瑠はそんな桜智を見て思わず抱きしめた。

その姿を結美が見ていて
二人の関係はただの父親の知り合いというだけではないと思った。

桜智は落ち着くと波瑠に結美から借りたお金を返して欲しいと封筒を渡した。

「金、大丈夫なの？

どこに住んでるの？

桜智…親父に相談しよう。」

波瑠は鴻に会わせたく無かったが
経済的に頼ることが出来るのは鴻だけだった。

桜智は嫌がったが
波瑠はそんな桜智を強引に鴻に会わせた。

「桜智…」

鴻は桜智を見てホッとしていた。

「よく戻ったね。

心配しなくていい。

桜智のことは守ってあげるから。」

波瑠はそんな鴻に嫉妬しながらも今は桜智を鴻に託すしか無いと思った。

桜智は翠から渡されたお金を鴻に返した。

「使ってません。

鴻さんの奥さんに返して貰えますか？

ごめんなさい。

鴻さんと別れるって約束したけど…
鴻さんと会えないなんて辛くて…」

鴻は桜智を抱きしめて
波瑠は黙ってその姿を見ていた。

そして全てが母のせいだと知った。

「波瑠、お母さんとは私が話す。

お前は桜智をマンションに連れて行って休ませてあげてくれ。」

波瑠は自分も母に抗議したい気分だったが
父に任せることにした。

そして桜智を連れてマンションに向かった。

鴻は翠に会いにいった。