aventure
情熱の時は流れて
鴻と翠は別れ、鴻が家を出て行った。

凪は翠と一緒にいると言った。

波瑠を失って、一人になる母が気の毒に思えたからだった。

鴻は凪と暮らしたかったが、
凪の気持ちを尊重した。

波瑠と桜智はハワイへ留学した。

ハワイなら日本語が通じる場所も多いし
桜智にとって憧れの場所だった。

そして月日は流れた。

鴻には新しいパートナーが出来た。

相手は鴻に家の設計を頼んだ女流画家だった。

年は鴻と二つしか変わらず、
彼女は2回の離婚を経験していた。

鴻は若い肉体ではなく心の安定を求めた。

彼女の前では気負う事なく
素の自分で居られる。

話も合うし、一緒に居て楽しかった。

情熱に流されて、何も見えなくなるような恋などもう二度としたくなかった。

鴻は彼女と籍をいれた。

凪は成人してすぐに結婚したい人がいると言って
鴻も翠も心配した。

事件の事を相手に知られたら凪が傷つくかもしれないからだった。

しかし相手は付き合う前に凪の事件の事を知って
それでも明るく生きる凪に惹かれたと言った。

凪はその2年後に結婚し
一女を授かり、幸せに暮らしている。

翠は若い男とは別れ、一生懸命仕事をしている。

男は居なくても飲み友達が出来て、毎日のように集まって楽しく過ごしている。

そして波瑠と桜智は既に帰国していた。
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