aventure
波瑠は桜智に気がつくと店に入ってきた。
「久しぶりだなぁ。
元気にしてた?」
波瑠は少し痩せていたが、
昔より柔らかい顔になった。
「今ね、先輩のこと話してたの。」
「え?どうせ悪口だろ?」
真緒はそんな2人を見て席を立った。
「私、約束あるから先に行くね。
桜智、また連絡するね。」
真緒の座っていた席に波瑠が座った。
「彼氏は出来た?」
「ううん。先輩は?」
「まぁ、上手くやってる。」
波瑠は大人になった桜智を見てときめいた。
「やっぱりいい女になった。」
「え?口説いてる?」
「口説いたら落ちる?」
桜智は首を横に振った。
「先輩とはもうゴリゴリ。」
「だよな?」
波瑠は少しがっかりしたけれど
それは波瑠も望んでた答えだった。
桜智と愛し合うには父の存在が大き過ぎる。
それはずっと変わらないだろう。
波瑠も桜智も鴻の存在がなければ
きっともっと長く一緒にいられたハズだった。
遠く離れても鴻の影はいつも2人を苦しめた。
2人は結局それに疲れて他の恋に逃げた。
「じゃあ、そろそろ行くな。
元気でな。」
波瑠はさりげなくテーブルの上の伝票を持って席を立った。
「ごちそうさま。
先輩も元気でね。」
「おう。」
お互いの過去の傷が胸をえぐる。
波瑠は振り向かず、
桜智は呼び止めなかった。
そして桜智は目の前に置かれた飲みかけのフローズンダイキリを一気に飲み干した。
そして鴻と初めて逢ったあのバーへ桜智の時が戻る。
「ヘミングウェイだね?」
鴻の声を思い出して、今夜もまた胸を焦がす。
〜aventure〜
fin
「久しぶりだなぁ。
元気にしてた?」
波瑠は少し痩せていたが、
昔より柔らかい顔になった。
「今ね、先輩のこと話してたの。」
「え?どうせ悪口だろ?」
真緒はそんな2人を見て席を立った。
「私、約束あるから先に行くね。
桜智、また連絡するね。」
真緒の座っていた席に波瑠が座った。
「彼氏は出来た?」
「ううん。先輩は?」
「まぁ、上手くやってる。」
波瑠は大人になった桜智を見てときめいた。
「やっぱりいい女になった。」
「え?口説いてる?」
「口説いたら落ちる?」
桜智は首を横に振った。
「先輩とはもうゴリゴリ。」
「だよな?」
波瑠は少しがっかりしたけれど
それは波瑠も望んでた答えだった。
桜智と愛し合うには父の存在が大き過ぎる。
それはずっと変わらないだろう。
波瑠も桜智も鴻の存在がなければ
きっともっと長く一緒にいられたハズだった。
遠く離れても鴻の影はいつも2人を苦しめた。
2人は結局それに疲れて他の恋に逃げた。
「じゃあ、そろそろ行くな。
元気でな。」
波瑠はさりげなくテーブルの上の伝票を持って席を立った。
「ごちそうさま。
先輩も元気でね。」
「おう。」
お互いの過去の傷が胸をえぐる。
波瑠は振り向かず、
桜智は呼び止めなかった。
そして桜智は目の前に置かれた飲みかけのフローズンダイキリを一気に飲み干した。
そして鴻と初めて逢ったあのバーへ桜智の時が戻る。
「ヘミングウェイだね?」
鴻の声を思い出して、今夜もまた胸を焦がす。
〜aventure〜
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