aventure

25になった桜智にはそれなりに色んな誘いがある。

妻子持ちの男だったり、
一時の感情で愛してると連発してするようなオトコだったり…

でも桜智は帰国して誰とも恋をしなかった。

「桜智、私ね…結婚する！」

久しぶりに呼び出した真緒が桜智にそう言った。

「おめでとう。」

「相変わらず冷めてるね。

桜智は誰か好い人いないの？」

桜智はあの時のことが忘れられずにいる。

苦い記憶と甘い痛みは桜智の中に今でも残っている。

「結局、私ね…忘れられないのかも。」

「え？どっち？

お父さんの方？息子の方？」

「んー…どっちも…

どちらか一人じゃなくて…

あの2人と情熱的な恋をしたのが忘れられない。

多分もうあれ以上の恋は出来ない気がする。」

そう言って遠くを見つめる桜智を見て
真緒は不安になる。

あの時のボロボロな桜智を二度と見たくなかった。

「桜智〜！何言ってるの？

もうあんな事しないでよ！」

「しないよ。絶対。」

桜智はそう言って笑いとばした。

でもあの時の恋は嘘じゃなかった。

不純で泥々な二度としたくない恋だけど…
あの時ほど燃え上がった時はなかった。

「あんな重たい恋はもうたくさん。」

桜智は笑って窓の外を見た。

ふと外を歩いてる男と目が合った。

桜智はその顔を見て驚いた。

それは紛れもなく3年前に別れた波瑠だった。