コガレル ~恋する遺伝子~


 朝、と呼ぶにはかなり遅い時間。
 目が覚めたら背中にピッタリと圭さんがくっついてた。
 今日は土曜で仕事は休み。
 圭さんは夕方の飛行機に乗る。

 私の胸を覆う圭さんの手をどかそうと握った手に違和感があった。
 自分の手を顔の前に持ってきた。

 ん?
 薬指に指輪がはまってる。

 もしかして?
 角度的に見えないから、さわさわと触れてみた。

 やっぱり。
 圭さんの指にも指輪がはめられてた。
 枕元の操作パネルでカーテンを開けると、しなやかな腕の中で寝返りを打った。

「圭さん、これ、」

 圭さんの顔の前で、婚約記者会見のタレントのごとく指を伸ばして見せた。
 圭さんは眠さと眩しさで片眼だけを開けた。
 一目見て、すぐにまぶたを閉じた。

「昨日暇だったから、買った」

「どこで?」

「福岡。流石に刻印まではできなかった」

 暇つぶしで福岡って…しかも高級そうなブランド品。

「左手のはまた今度」

 左手…?
 確かに今指輪があるのは右手の指だった。

「左手のなんて、要らないですよ」

 圭さんの両目がパッと開いた。

「どういう意味?」

 あ、そっか…左には意味があるんだ。

< 274 / 343 >

この作品をシェア

pagetop