コガレル ~恋する遺伝子~
朝、と呼ぶにはかなり遅い時間。
目が覚めたら背中にピッタリと圭さんがくっついてた。
今日は土曜で仕事は休み。
圭さんは夕方の飛行機に乗る。
私の胸を覆う圭さんの手をどかそうと握った手に違和感があった。
自分の手を顔の前に持ってきた。
ん?
薬指に指輪がはまってる。
もしかして?
角度的に見えないから、さわさわと触れてみた。
やっぱり。
圭さんの指にも指輪がはめられてた。
枕元の操作パネルでカーテンを開けると、しなやかな腕の中で寝返りを打った。
「圭さん、これ、」
圭さんの顔の前で、婚約記者会見のタレントのごとく指を伸ばして見せた。
圭さんは眠さと眩しさで片眼だけを開けた。
一目見て、すぐにまぶたを閉じた。
「昨日暇だったから、買った」
「どこで?」
「福岡。流石に刻印まではできなかった」
暇つぶしで福岡って…しかも高級そうなブランド品。
「左手のはまた今度」
左手…?
確かに今指輪があるのは右手の指だった。
「左手のなんて、要らないですよ」
圭さんの両目がパッと開いた。
「どういう意味?」
あ、そっか…左には意味があるんだ。