コガレル ~恋する遺伝子~
「なんでもいいよ、弥生がいてくれるなら…もうなんでもいい」
搭乗口の入り口の手前、弥生を抱きしめた。
こんな別れのシーンは、日々この場所で繰り返されてるだろう。
願わくば、誰も気に止めず横を通り過ぎて欲しい。
俺達を放っておいて欲しい。
「冬休みまで、泣くの禁止」
声に更に色艶を乗せて耳元で囁けば、弥生の弱点を刺激する。
ここ数日で知ったことだ。
身体を離すと、潤む瞳と目が合った。
冬休みにはその涙が枯れるのを覚悟した方がいい。
弥生から手を離すと、弥生の手も俺の肘の辺りから離れた。
またね。
俺はバッグを持つ手を肩にかけると、搭乗口へ歩き出した。