極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「性格悪いですよ。知ってますけど」
「すみません。……面白いなあ、彼女」
「……朝比奈さんってそんな風に笑うんですねえ」
「はい?」
「なんというか、年の割には落ち着きすぎてて老獪《ろうかい》なイメージしかなかったんですが。今の顔は年相応でした」
老獪て。
決して褒め言葉ではない。
どうやら店長の中では僕は随分年寄り臭いらしい、しかも悪賢い方の年寄りときた。
「今の顔は若者らしくて良かったですよ。最近、うちの店舗に寄る率高くありません?」
にや、と笑った店長の表情こそ悪そうに見える。
からかわないでくださいよ、と笑って流そうとして、出来なかった。
図星を指されたような気がして、頭の中で言い訳を考えたからだ。
確かに、近頃何かとここに立ち寄っている。
だがそれは別に深い意味があるわけじゃなく、少々難ありの新入社員が放っておいたら悩んでいても連絡も寄越さず倉庫整理にのみ精を出しているかもしれないからだ。
まあ、それもそろそろ心配もなくなったから、わざわざ他店の帰りにまで立ち寄らなくてもいいだろう。
そうその時は思ったはずなのに、僕が東武を訪れる回数は減らなかった。
どこに向かうにも、帰り道に寄りやすい立地というのもある。
時々、理由もなくあの逞しい背中や得意げな横顔を見たくなる。
彼女は徐々に仕事に自信を持てて、最初の頃のようなおどおどした空気はなくなり生き生きとした表情でくるくると働いていた。