極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
いつ声がかかるかわからないからと急ピッチで片していて、全て終えて時計を見れば十一時だった。


「……面談、まだなのかな」


午後一時には外出したいから、それまでにできればお昼も済ませておきたいのだけど。
朝比奈さんはあれからオフィスには戻らないままだ。


本社に戻ってきたばかりだから、色々と忙しいのだろうけど……だったら面談なんてもっと後回しでいいんじゃないのだろうか?


などと思ってしまうのは、やっぱり、逃げ出してしまいたいからだ。
だってまさか即日で、顔を突き合わせて話しすることになるなんて、思いもよらなかったのだ。


面談、と言うからには、各個人のエリアの売上の話などが当然出てくる。
そうなると、オフィスの空いてるデスクで、とかそんなわけはなくて。



「お待たせ、吉住。ミーティングルームに来てくれる?」

「はい、すぐに」


オフィスの入口に再び姿を現した彼は、やはり別室を指定し、さっさとその方角へ向かってしまった。


いきなりふたりきりという事態に、気後れしている場合ではない。


仕事なのだ。

意識し過ぎるからいけない。
自意識過剰だと思われる前に、私もきちんと平静を取り戻さなければいけない。


第一、さっきから朝比奈さんは全く普通で気まずさもバツの悪さも、欠片も表情に現れていないのだ。


私一人空回ってみっともないとこ見せたくない。
悔しければ仕事で見返せ、だ。


深呼吸をして「よし」と気合を入れると、私もすぐさま、必要だと思われるファイルを手に後を追った。



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