極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「一杯だけ」

「ひとりで?」


くんと繋いだ手を引かれて、彼が戻る形で歩き出す。


ひとりでお酒を飲むタイプではない認識なのだろう、意外そうな顔をする。
それは昔から変わらず今もそうで、彼の認識は間違ってない。


駅ソバにはひとりで入れても、バーなんかにひとりで入るのは私には敷居が高い。


「……倉野さんに誘われて、一杯だけ」


その名前に一瞬で眉を顰めた彼だけれど、私が「大丈夫」と笑って言ったので少しだけ表情を和らげた。


「改めて、謝罪をしてもらえただけです。話せてよかったです、私も」

「……そう。なら、いいけど」


そう言いながらもまだ少し訝しんでいるようだったけれど、それも致し方ないかもしれない。
素直に謝るタイプには見えないから、私もかなり意外だった。

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