極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
不自然な姿勢では苦しくて、けれど添えられた手に顔はしっかりと固定されて動かせない。


「んっ……ふ、」


隙間で息を吸いながら、動かせない顔に合わせて徐々に身体の向きを変えると、私の身体を抱きしめている彼の腕が傾いた。
そのまま、ぽふんとソファに押し倒されてしまう。


私の口の中を舐め取っていく、まるで食むようなキスはとても、官能的だ。
手の力が抜けそうになって、鍵の存在を思い出してぎゅっと強く握り直す。


漂うコーヒーの香りが強くなる。
もうじき出来上がるのかなと思っていれば、キッチンの方から電子音が聞こえてきた。


けれど、そちらへ気を散らした私を咎めるように深く舌を絡められ、舌先に歯を立てられる。


「ふぁ、」

「可愛い」


少し隙間を空けて、彼が言う。
とろん、としながら見上げれば、彼の手が私の唇の端を拭った。


そして再び落とされたキスは、唇ではなく頬から首筋を辿るものだった。


「あ、朝比奈さん、コーヒーが、出来たみたい……」

「うん。大丈夫、少しくらいなら冷めないようになってるよ」


いつのまにか緩められた襟元に、彼の唇が潜り込み鎖骨に舌が這う。
ぞく、と腰から背筋へと波打つような感覚が遅い、身を捩った。


「す、少し?」

「ん、少しだけ」


ちく、と肌に小さな痛みが走り、そこに痕が残されたことを知る。
ああ、なんだか少しでは収まりそうな、気がしない。


そして私の予想の通り、ふたり息を整えるころにはすっかりコーヒーは冷めてしまっていたのだった。





***************

番外編:END

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