極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「会社から君のアパートまで帰るより近いし、駅からも便利」

「そうですね」

「セキュリティもしっかりしてるし」


少しずつ強くなっていく腕の力と共に、彼が何を言いたいのかも少しずつ伝わってくる。
抱きすくめられ、真後ろから耳のあたりに微かな吐息を感じると、耳の淵に軽く口づけられた。


「寝室も見てもらった通り、クローゼットも大きいから真帆の服もはいるよ」

「ふ……はい」


くすくすと笑いながら聞く彼の囁きはとても甘い。
とても嬉しい、嬉しいのだけど。


「毎日帰って来てくれてもいいよ」


顔だけ振り向かせると、すぐ間近に彼の甘い微笑がある。


私は、困ってしまって言葉に詰まった。


「それは……また、いつか」

「すぐでもいいのに」

「いくらなんでもスピーディ過ぎて」


だって、こないだ朝比奈さんが帰ってきたばかりで、荷物を解くよりも最優先といった怒涛の勢いで口説き落とされ、元の関係に落ち着いたばかりだ。


四月からのこの急展開に、嬉しいし幸せだけれど余りに勢いに乗り過ぎて頭の整理がついてない。


正直に言うと、彼はある程度私の反応に予想もしていたのだろう。
別段不機嫌になるでもなく拗ねるわけでなく、私の頬に手を添えると唇を軽く啄み、音が弾む。


「じゃあ、少しずつその気になってくれるように頑張ろうかな」

「何を?」

「ん? 今までと同じ。気長にしつこく口説き落とすだけ」


語尾は唇に触れ、そのまま深く私の唇を割り重なった。
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