極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

【三年前】


朝比奈さんの専属サブになったのがなぜ私だったのかはわからない。
サブは本来専属というものがなくてみんなでマネージャーの仕事をカバーしていて、朝比奈さんの仕事量に見るに見かねて当時のエリア統括が専属サブをつけることを提案した、というのは聞いている。


「っつかさー。なんで吉住なの。私の方がどう考えたって仕事早いし。アイツ寝てんのって思うくらいとろいじゃない」


お昼を食べてからお手洗に行こうとして、入る手前でその会話を聞いた。
ひとつ先輩の、佐々木さんの声だった。


「あれ、朝比奈さんご指名なの?」

「さあ? わかんないけど、納得いかないわ。アイツじゃ絶対、足引っ張るしかできないんじゃないの。あのちんちくりん」


他の声も、サブの子たちのものだ。

私は諦めて、別のフロアのトイレを借りることにして、エレベーターに乗った。


どうせ、買いたいものがあったし。
一階のトイレに行ってから、ロビーの端にあるコンビニに寄ろう。


それにしても……ちんちくりん。
仕事に関係ないと思うんだけど。


それに、少々童顔で肩幅だとか手だとか全体的に小さいイメージで、ちんちくりんに見えるかもしれないが、一応155センチは越えている。


しかし、容姿でなめられがちなのは自分でもわかっていて。
ちょっとでも大人っぽく見えるように、朝比奈さんと組んでからは少しパンプスのヒールを高くした。


一階でエレベーターを降りて、トイレに向かう途中で足の痛みに一度立ち止まる。
溜息をついて、パンプスを踵の方だけ脱ぐと、爪先に気持ち良い解放感。


踵は、ストッキングの上からでもわかるくらい赤くなっていた。
コンビニで買うつもりでいたのは、絆創膏だ。


先にコンビニに行ってからトイレの方が良かったか、と方向転換しようとしたのだが。


「大丈夫? 靴擦れしたの?」


優しくて落ち着いた女性の声に、振り向いた。


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