極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「別に。三年も経ってんだし、普通に上司と部下として接するだけだよ」
ぐるぐるぐる、とフォークにクリームパスタを巻き付けて、ぱくんと口に入れた。
このイタリアンカフェは、改札近くでぱっと入れてぱっと仕事に戻れる位置にあるので便利が良い。
ただ、パスタの量が少な目で伊崎には物足りないのか、パスタセットに加えていつもデザートまで頼んでる。
時間短縮でパスタと飲み物とイチゴサンデー、全部一緒に持ってきてもらってしまい、溶けるということに今更気が付いて先にイチゴサンデーから手を付ける、伊崎のオバカ。
でっかい手が、可愛らしいイチゴサンデーを突いているのを見ると正直、似合わない。
「吉住はそうでも、向こうはどうなんだろなー」
「向こうも同じでしょ。……余計なこと言ったりしないでよ、今更周囲に知られたくなんてないからね!」
「……言わねえけど」
朝比奈さんと私が付き合っていたことは、周囲には秘密にしていた。
自分に自信があれば、堂々としていられたのだけど……あの頃の私は仕事にも女としての自分もまだまだ幼くて、そんな私が朝比奈さんみたいな人と付き合って、釣り合ってないと周囲から囁かれるのが怖かったのだ。
唯一、伊崎だけが気が付いて、失恋後盛大に落ち込んだ私も見られたものだから、余計に今となっては気ごころの知れた仲である。
「朝比奈さん、あの頃から私だけじゃなかったんだし。今更顔合わせたところで、変に蒸し返されたくないのは向こうも同じだよ」