極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
午前中の店舗周りを終え、午後一時過ぎ。
いつもの駅とは、伊崎と私のエリアのちょうど境目にある駅のことだ。


落ち合う時は、大抵ここだ。


「あーっ! 美味い!」


アイスコーヒーをストローで一気にグラスの半分ほどを飲み干して、でたセリフは親父くさいもので、向いで伊崎がくしゃっと顔を歪めて笑った。


「オヤジかよ」

「だって喉乾く。歩き回って足はだるいし」


パンプスのヒールは低めにしてあるけれど、出来ればスニーカーにしたいところだが、そうもいかない。


「まー、この時期はまだマシだろ。中元シーズン入るのが怖えなー……」

「あ、やだ。先のことまで言わないで今で精一杯なんだからさ」

「あほか、もう今から準備始まってんだからさ、先に出来ることはしとかないと後がきついって」

「そりゃ、そうだけどぉ」


あー。
夏用商品のディスプレイ各店舗に手配もしなきゃ。


確かにやることは山ほどあるから。


「っつーか、お前大丈夫」

「何が」

「しらばっくれんなよ。来週からだろ、朝比奈さんコッチくんの」


山ほどあるから!
余計なことは考えたくないっつの!

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