いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
紅栄堂さんとうちの挨拶及び顔合わせを終わらせた後、当然の態度で私を連れていこうとする涼介に戸惑っていたら、部長が言ってくれたのだ。

「ミズイさんと打ち合わせに行ってきなさい。どうも込み合った話のようだから時間もかかるだろう。今日はもう、直帰で構わないから」

「いえ、流石に。お話は仕事後で構いませんから」

プライベートな問題なのは明白だ。仕事を抜けてするのは社会人として問題だと思う。そう言い募る私に、梨花さんは苦笑しながら反論する。

「行ってきなよ、柏木ちゃん。どうせこのままじゃお仕事捗らないし、ミズイさんも納得しないんじゃない?」

その申し出を素直に受け取る涼介に引きずられていく前に、梨花さんが私の耳元でそっと言葉の続きを囁いた。
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