いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「湊……」

「文香が言ってたの。自分の思い込みのせいで誰かを苦しめてる事があるって。きっと、私の場合は涼介を苦しめてたね」

「ごめん」と謝った私を、涼介はもう一度抱き締める。今度はキツく、私の存在を確かめるような抱擁。そのまま背中に回った手はしばらく留まってから、ゆっくりと蠢きだした。

「り、涼介?」

「お互い素直になるまでに八年かかったんだから、ここからはゴールまで一気に行くよ」

「ゴール?ゴールって……」

「勿論、湊を完全捕獲するゴール。ああ、でも二人で幸せになるゴールは、数十年先になるから、焦らずに目指そうか」

ゆっくりソファに押し倒しされた私に見えたのは、さっきまでの震えそうな子犬みたいな表情から一転、危険で魅力的な色気ダダ漏れの涼介の顔だけ。そのまま首筋に口付けられて、耳元に身体の芯まで蕩けそうな声が注ぎ込まれた。
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