いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「それなら、予約してあるんだ。行こう」

私の背に手を回してさりげなくエスコートする仕草は如何にも女性の扱いに慣れていそうで、さっきの発言の信憑性が低くなる。

「ーーーそれとも、大人になってから?」

学園の王子様から大人の男性へ。いつだってモテただろうし、相手に不自由した事もないだろう。

涼介のファーストキスの相手が自分のはずはないとその理由を考えていたら、行く先を尋ねる事も彼から距離を取る事も忘れていた。

「いらっしゃいませ」

連れてこられたのはホテルの最上階。メインダイニングでもある、フレンチの銘店だ。

「お久しぶりです、涼介様」

「久しぶり。今日は急なお願いして申し訳なかったね」

「いえ、そんな事は。シェフも久しぶりに涼介様に召し上がって貰えると張り切っておりますので」
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