素直じゃないね
莉里ってあの優しい声で名前を呼ばれる回数も
気軽に話しかけられる回数も
ふわりと笑うあの顔を向けられることも
少なくなっていって、どんどん本当のただの他人になっていってしまうのかな。
「永瀬くんには嫌われたくない、な……」
「ごめん、もう無理」
ーーっ!
永瀬くんの声…!
そうやって、すぐに反応して顔をあげたのと腕を引き上げられたのは、おそらく同時だった。
腕の中に閉じ込めるように強い力がわたしを離さない。
少しの身動きもできないぐらいの強さ。
ぴったりと密着しているせいで普段聞こえるはずのない鼓動も感じられる。
耳に当たって感じてくるものは自分のなのか、永瀬くんのなのか。
わからなくなるぐらいには混乱してる。