素直じゃないね


制服の裾を掴む手が微かに震える。



これは夢なんかじゃないよね。



永瀬くんのことを考えすぎてついに見えないものまで見えてきたとかそういうのじゃないよね。



指を鳴らしたら魔法のように今、目の前の永瀬くんが消えてしまうことなんて、そんなの……嫌だよ。



わたしは腕を回して抱きしめたくて力を入れた。



好きが溢れる。




「好きだ」



「わたしもだよ、永瀬くん」




伝えられる日が来ることをわたしは願っていただけで、自分の気持ちに素直になって行動に移せなかった。



素直になることを臆病さが邪魔してしまっていた。


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