素直じゃないね
「ごめん、そんな痛かった?」
永瀬くんの手から解放されて、無意識に頬を両手で挟んでいるとそんな声が。
離れていった温もりを少しでも長く感じていたい思いから無意識の行動だった。
あとは、照れ隠し。
熱くなって赤く染まった顔に気づかれないように、って。
「違うよ、痛くないから大丈夫」
「ならいいけど」
「そろそろ帰んなきゃ……あ、傘ないんだった」
手元にあったはずの傘はさっき奪われた。
今ではもう元彼と呼ぶ人に。
最後に小さな嫌がらせを残して別れるって……。
心の中でため息をついてると、パンっと空気を振動させる音が隣でした。
「じゃあ俺と一緒に帰ろ」