HEROに花束を(完)


まだまだ盛り上がっている屋台の間を、千秋ちゃんと別れて一人で歩く。

空を見上げれば、街の雲で見えない星たち。

本当はそこにいるのに見えないっていうもどかしさ。


わたしは靴擦れした足を少し引きずるようにしながら、少し煙臭い夏祭りの道を急ぐ。


千秋ちゃんは花火には間に合わず、予定があって帰ってしまった。

このまま一人で花火を見るのも悲しいだけだ。


「帰ろう。」


そう自分につぶやいて角を曲がったその時、


「あっ。」


そんな声が聞こえて振り返る。


「や、やっほー。」
< 311 / 537 >

この作品をシェア

pagetop