HEROに花束を(完)
『もしもし、お母さん?…うん…うん、ごめん…わかった。今帰るから…。いや、大丈夫…。おっけ。じゃあな。』
そういえばあの日、家に遊びに来た時も、悠はお母さんから電話が入っていた。
悠はポケットから懐中電灯を取り出していた。
『まだ持ってるの?あはは。』
わたしは何も知らずに笑い飛ばしてしまった。
『そ、ポケットから出すの忘れてた。』
『いつから洗ってないのよそのズボン。』
『いや、結構やべえな。』
悠は笑ってごまかした。
わたしは、そんな悠に、何も言葉をかけなかった。
その時どんな気持ちで笑ったのか。
どんな心境で冗談を言ったのか。
わたしは、何も知らない。