鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「課長、急遽ってことはなにかトラブルでもあったんでしょうか?」
冴木主任からお土産を受け取り、ホワイトボードに視線を戻す。
「心配いらないよ。大阪に行くはずだった森本が高熱で、課長は代理で行ってるんだよ」
「そうだったんですか…」
冴木主任の言葉にホッと胸を撫で下ろした。
課長は忙しい平日も毎日、私の身体を気遣うメールを送ってくれていた。
私よりも仕事量は多いし、外回りに出張にと疲れているのは確実に課長のほうだと思うのに…。
でも、大阪出張の連絡はなかった。
ホワイトボードを見て不安になったけど、急遽代理で出張になったと知って、安心してしまった。
「そんなに心配なら菜緒ちゃんからメール送ってみたらいいんじゃない?」
突然佐野さんに顔を覗き込まれて、驚きのあまり後ろに倒れそうになった。
「佐野さん!驚かさないでください!」
「ごめんね~。それより、課長にメールね」
佐野さんにもすっかり課長とのことを知られてしまっていて、冴木主任と顔を見合わせてニヤニヤ笑われてしまっている。
「私からメール送るんですか?」
「課長、喜ぶわよ~」
どうやら私には拒否権はなさそう。
佐野さんと冴木主任に急かされて、バッグからスマホを取り出した。