鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「あ、メール」
スマホを見ると新着メールが1通きていた。
読み終わると、恥ずかしくなって俯いてしまった。
「なんだ~。菜緒ちゃんが送らなくても課長からメールきてたっぽいね」
「よっぽど真宮さんのこと、大切なんでしょうね」
佐野さんも冴木主任も、私がなにも言わなくても全て承知とばかりに話を進めている。
この状況に耐えられなくなり、冴木主任のお土産を配って給湯室に逃げ込んだ。
ひとりになって、もう一度課長からのメールを読み返す。
『大阪出張になった。夕方の飛行機で戻る。菜緒不足でどうにかなりそうだ。俺のマンションで待ってろ』
甘い言葉に顔が熱くなる。
正直言って、私も課長不足でどうにかなりそうだった。
ようやくプライベートで課長に会える。
そう思うと、私の頬は緩みきってニヤニヤが止まらない。
こんな表情のままフロアには戻れない。
佐野さんと冴木主任にからかわれるのが目に見えている。
頭の中で今日一日の仕事を思い浮かべて、気合いを入れてからフロアに戻った。