鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


「まだ片付いてないけど、落ち着いたら遊びに来てね」

「絶対行く。すごいマンションだって聞いたし」

園子の目はキラキラ輝いている。

私は日替わりランチを食べながら頷いた。

「菜緒」

名前を呼ばれて振り返ると、トレイを持った課長が立っている。

「課長、ここは社内です」

「冷たいな」

課長は平然と私の隣に座る。

何度注意しても、所構わず名前で呼ぶから困る。

せめて営業部のフロアだけでも名字で呼んでほしい。

私は仕事がしづらい。

でも、気にしているのは私だけみたい。

周りは周知の事実といった感じで、いつも温かく見守ってくれている。

そんな私たちが同じ部署で働けるのも残りわずか。

年度初めの4月から課長は情報システム部に異動する。

1年後には部長が定年退職するにあたって課長が部長に昇任するらしい。

そのうち役員にスピード出世するんじゃないかって社内で騒がれている。

さすがにそんなことはあり得ないと思っているけど、課長に限って言えば、もしかしたらそんなに遠くない将来そうなってもおかしくはないとも思ってしまう。







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