美魔女オネェに拾われたなら

喜んでいいのかどうなのか。
むーっと悩んでいると

クスクスと笑って、明さんが手を差し出す。

「さ、行こうか」

「うん!」


そうして出掛けた先は、銀座。


向かった先は私が入るのも躊躇う、ハイブランドのジュエリーショップ。


「え?ここ?明さん、ここなの?」


思わず腕を引いてそう聞くと、


「あ、ここのブランドは好きじゃないか?銀座だから他にも色々な所があると思うけど、どうする?」

いやいや、だからなぜジュエリーショップ?!


「今日のお出かけ予定はジュエリーショップだったの?」


「あぁ、夏美に似合う指輪を見つけたくてな。サプライズより、俺は一緒に選びたかったんだが…。嫌だったか?」

ちょっと、失敗したかと焦っている明さん。
その姿はとても珍しい。

私も話してくれてなかったからびっくりしただけで、嫌ではない。
一緒に選ぶという、その考えが嬉しかった。


「ジュエリーショップに行くとは思ってなかったから、びっくりしただけで嫌じゃないよ。でも、指輪って…」

想像していることが起きてる?
私はドキドキしていた。


「婚約指輪と結婚指輪。重ねてつけられるものが良いかなとか色々考えてて。ここに来てみたんだ。ここのはデザインが良くて、夏美に似合うと思ったから」


そう言う明さんは、少し照れくさそう頭に手を当てていた。


「こんなにいい所で、買ってもらっていいのかな?」

そう聞くと

「それなりには稼いでるしな、その辺は何も心配しなくていいから。夏美に似合うものを探そう」

「うん、分かった」



そうしてかれこれ二時間ほどかけて、婚約指輪と結婚指輪を選んだ。


重ね着けも出来る婚約指輪と結婚指輪は幸いサイズもありその場でのお持ち帰りが叶った。


その後近くのデパートに入りお昼を済ませると、今度はまた服やら靴やら見に行くことに。


以前にも増して、ちょこちょこと私に服やら靴やらバックを買おうとする明さんに


「そんなに要らないからね!」



と釘をさしながら見て周り、疲れればまたカフェでお茶をして更に移動を始めた。
< 89 / 95 >

この作品をシェア

pagetop