この世界は7で終わる
「…東から」
呟き程度の大きさを「ほう、東か。遠路遥々ようお越しになった」としっかりと聞き取ってくれたお爺さんは皺を濃くして笑った。
私とルカは人の存在に驚きはしたが、徐々に受け入れつつある。だってここは地球だから。人間が住む地球だ。なんや可笑しなことはないと思った。
「爺さん、それ何?」
不躾にも程がある。初対面の人を前にルカの関心はそこにはなかった。頭を叩いておこうか。
「これかい?電気で動く車椅子だよ」
「すごいな、初めて見た」
「拾った物でね。えらく部品が錆びておって直したは良いものの、所々不細工になってしまったがな」
文明の遺産じゃよ、お爺さんは身体を預けたまま車輪をそっと撫でた。どこか懐かしそうに、その顔は穏やかだった。
電動で動く車椅子。
かたや木製の手作り感が否めないオンボロリアカー。
ーー・・対照的でも役割は同じ同志のように見えた。
「お前さんのは、えらく洒落ておる」
「未来の嫁さんのお手製だからな」
「ほっほっほ、そりゃ羨ましい限りだね。わたしの女房はガラクタばかりと文句ばかり言っとった」
ここで私とルカが「奥さんはどこに?」とは聞けなかったのはお爺さんが懐かしそうに話す姿を見たからだ。もう過去のことだと、そう物語っていた。