この世界は7で終わる
「女房は数日前に逝った。若いモンがこんな老いぼれに気を使わんでいいんだよ」
でも筒抜けだった私達の遠慮はいとも簡単に見抜かれていた。年の功によるのか、この人だからなのか。
そして「ーー・・見ての通り自分も、もう長くない」全てを悟ったようにゆったりと紡がれる言葉にも、悲観の色は不思議となかった。
「わたしは十分生きた。こんな時代のこんな場所で、60年も生きれたことが奇跡に近いからね」
いつの間にかその視線は、吸い寄せられたかのように湖の中心へと向けられていて。だから思わず口から言の葉が溢れた。
「ーー・・あの木はずっとあそこに?」
若木を示して、お爺さんに問うてみても返されたのは柔らかい微笑と、小さじに収まるくらいの小さな後悔だったように思えた。
嗚呼そうかーーー・・この人は、私と同じなんだ。