この世界は7で終わる
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外は太陽の光を失くし、凍える寒さへと打って変わる。煉瓦の家は元々あった見張り小屋を改装したものらしい。若き日に夫婦二人でこの場所へ移り住んだと、来る道中に話してくれた。
「アトリちゃん、ルカくんか。あまり聞かない響きだ」
暖炉に薪をくべながら物珍しそうにお爺さんーー・・ヤコフさんは言った。
「私達は移民の血筋らしくて、叔父からは先人は旧ヨーロッパ人だと聞いています」
「なるほど。陸続きとはいえ文化圏が違えば名も変わるか」
興味深そうに顎の無精髭を触る。ヤコフさんはそのまま器用に車椅子からロッキングチェアーへ移り一定のリズムで揺れる。右足は動くようで安心した。
私が、紅茶やコーヒーがあれば淹れてくると一言告げれば「キッチンの棚に茶葉がある。頼めるかね?」 それに頷いて三人分の紅茶を用意する。
片付いた流し台。食器も然程多くなく、勝手に探し当てたティーカップには薄っすら埃が溜まっていた。