ナンパ霊
弟は3ヶ月前、実家の風呂場ですべって転んで頭を打って死んだ。二十歳。即死だった。


ヘラヘラしたチャラ男だったので、あの世でうまくやっていけるか心配だったが、元気そうで何よりだ。


「で、何しに来たんだ?」
「ああ、そうだった」


弟は残りのうまい棒を飲み込むと、おれの前に立ち、急にいやらしい顔つきになり、おれの背後に向かって話かけ始めた。


「ねえねえ、そこのお姉さん。初めまして。おれ、こいつの弟です。兄がいつもお世話になってます。いやあ、それにしても、お姉さん、きれいっすねえ」
「・・・・・・何だおまえいきなり?キモいぞ?」
「うっせーよ。いや、実はさ、おれ死んでから、見えるようになってわかったんだけどさ。兄ちゃんの守護霊、すっげえ美人なんだよね。石原さとみにそっくりで。それでお近づきになりたいと思って、今日ここに降りてきたってわけ」
「・・・・・・・・・」


・・・マジかこいつ?兄の守護霊をナンパしに来やがったのか。

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