オードリー
彼女目当て
「しいちゃんって、モテるよね。男の人って、いつも、しいちゃんにしか、連絡先聞かないし」

彼女が言った。

彼女が言った通り、いつも連絡先を聞かれるのは私だったが、彼らのメールはいつも同じ内容だった。

「しいちゃんって、彼女と仲良いよね!」
「彼女って、今、彼氏いるの?いないの?」
「彼女、どんな男性が好みなの?」
「今度、彼女と合コン、セッティングしてよ」

こんなのばかりだった。
私に用事がある人はいなかった。
もう、うんざりだったけど、彼女に直接聞いてとは言えなかった。

彼女には、気安くそんなこと聞けない。
私が1番よく分かっていた。
彼女は、老若男女問わず、虜にしてしまうことを。

彼女と私が一緒にいる時、何度か、男性に声を掛けられたことがある。

「アナタハ、キレイ。アナタハ、ウツクシイ。」
ひとまわり年の離れた外国人からも彼女は告白された。

私は完全に引き立て役でしかなかった。
それでも、綺麗で完璧な彼女と一緒にいられることが幸せだった。
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