夢愛

「……良くわからないんですけど……」

最終的にたどり着くのはやっぱりここだった。なにも解決しないで終わる。
それだけだった……。

「だよな。」

神崎先輩は優しげな声で優しい顔で笑っていた。
「いきなり何言ってんだろうな、俺。」
夢でも見てたのかもな。
そう言ってまた笑う。

この人は笑顔のよく似合う人だな。

って、思った。

「なぁ夢月? これから一緒に帰らねぇか?」

さっきの展開からもうこれだ。凄い人だよね。

わたしが返事に迷ってまた考え事をしていると「ダメだったか?」と言われる。
さっきの事といい、昼休みの事と言い、わたしの顔目当てで近付いてくるあの人たちとは別の人だって確信した。

「……ダメじゃないですけど。」

素直に「いいですよ」って言えなくて、雛乃の素直差が羨ましくなる。

「その変わり、さっきの意味深な事はわたしに関係あるんで先輩にも解決策を頼みますよ」

わたしがそういってネックレスを服の中にしまうと

「喜んで」

と、一言。
その先輩の顔は心の底から笑っている様な気がした。

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