夢愛

だけど、わたしは無意識に

「これ、ホントにキレイですよね……」

なんて、口走っていた。
掌に乗せたそのネックレスの輝きは夕方の日に照らされてキラキラとしていたから。
「夢月はさ、好きな奴とかできたりしないの?」
またも突然の先輩の言葉に「いると思いますか?」と無愛想に答える。
「いると思ったんだけどなぁ」
なんて、こっちも見ずに前を見てる先輩にまた懐かしさを感じた。
やっぱりこの人と一緒にいると調子が狂って仕方ない。

「なぁ夢月……」

名前を呼ばれて「はい?」と返事をして斜め上を見ると真剣な顔の神崎先輩。

「俺の事忘れちゃったのか?」

意味深な事を言った先輩は眉を下げて本気で問いかけていた。

「何を……言って……。」

わたしと先輩は今日初めてあって今日初めて一緒に帰っている中仲であって、忘れたも何も他人でしょ?

まって……何この違和感……

「俺、覚えてるよ。全部」


────忘れないでくれ……覚えてて……


頭の中でこの言葉を思い出す。



────愛と恋はなにが違うと思う?



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