神様の隣で、君が笑った。
 


「朝陽が誰よりも私の幸せを願ってくれるなら、私は朝陽の幸せを、誰よりも願うよ」


あなたを想うだけで、涙が溢れる。

それはきっと恋ではなく、愛なのだろう。


「これからも、俺は菜乃花のそばにいる」


頬を伝う涙を拭った指先が、私の顔を持ち上げた。


「だからずっと、菜乃花は俺の隣で笑ってて」


重なった二人の唇。

窓の外に揺れる新緑と、真っ黒なグランドピアノ。

幸せは、いつでもきみの隣にあった。

優しいキスを隠すように、アイボリーのカーテンが私たちをそっと、抱き締めた。



 
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