神様の隣で、君が笑った。
 

……よくよく考えたら、一人で帰るのも久しぶりだ。

朝陽がいるであろう第一棟のある方向を眺めて考えると、なんだか少し可笑しくなった。

今日から朝陽は特進科の特別授業が始まって、課題で出たグループワークというものをやるために帰る時間がいつもより遅くなるらしい。

先程メールが来て、《何時になるかわからないから、今日は先に帰ってて》と、言われたのだ。

放課後、いつもなら特進科の授業を終えて商業科まで来てくれる朝陽を待って、私たちは二人一緒に学校を出る。

だけど今日は課題があるなら仕方がない……というか、そもそも私と朝陽は必ず一緒に帰るという約束をしているわけでもないし。

どちらか一方が一緒に帰りたいと言い出したわけでもないから、仕方がないと思うことすら間違っていた。

……ただ、なんとなく。

なんとなく、ほぼ毎日一緒に登下校することが暗黙の了解となっている。

小学校、中学校、高校……と続けば、もはや習慣と言っていいかもしれないけれど、改めて考えるとやっぱり少し変だと思った。

 
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