腹黒王太子の華麗なる策略
同部屋の彼女にも隠し事なんて出来ない。

「あの……その……昨夜は……ク、クリスと……本の話をしてたら……寝ちゃって……」

上ずった声でそう白状するが、コレットは面白くなさそうな顔をする。

「はあ?一晩一緒に寝たんでしょう?ついに王太子に抱かれたかと思ったのに、つまらないわねえ」

コレットの言葉に顔がカッと熱くなる。

「ちょ……抱かれたって……変なこと言わないでよ。相手は王太子さまなんだよ」

「……同じベッドに寝ておいて手を出さないなんて、あのエセ紳士……何考えてるのかわからないわね」

コレットは顎に手を当てながらブツブツ呟く。

『エセ紳士』って誰?

下手に質問して昨夜のことをこれ以上追及されたくない。

クリスに抱かれてはいないけど、キスはされた。

彼が触れた唇にそっと触れる。

あのキスは挨拶みたいなものだったけど、コレットには秘密だ。
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