腹黒王太子の華麗なる策略
心の中で毒づいて再び剣をフィオナに向ければ、アンが俺の背中に抱きついた。

『やめて!』

俺の動きを止めようとするアン。

『馬鹿!アン、離れていろ!』

俺がそう言っても、アンは泣き叫んで聞かなかった。

『いや!』

俺とアンのやり取りを見て、フィオナは口の端を上げる。

そして、ボソッと何か呟いた。

マズイ!

嫌な予感がして、俺は咄嗟に黒い結界を張った。

赤黒い煙が俺とアンに襲いかかるが、結界で届かない。

それを見てフィオナが悔しそうに顔を歪めた。

今度は俺の番だ。

ババアを見据えて剣を振るうが、アンが両手で俺の腕を掴んだ。

『クリス!殺さないで!』

『アン……』
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