腹黒王太子の華麗なる策略
黒い光が俺の身体をすり抜け壁にぶつかり、ゴゴッと音を立てて壁が崩れる。

『お前……私の魔法を防いだのか?』

フィオナは驚いて目をカッと見開く。

俺は質問には答えず、ババアを剣で刺した。

『死ね!』

グサリと剣がフィオナの胸に刺さったその時、背後からアンの悲鳴が聞こえた。

『クリスー!やめて!お母さんを殺さないで!』

『これはアンのお母さんじゃない!』

フィオナと対峙しながら否定するも、アンは俺の言葉を信じなかった。

『何を言ってるの、クリス!これは、お母さんよ!』

アンの悲痛な叫び声にひどく胸が痛んだ。

俺のそんな心を読んだのか、フィオナは顔を歪めながら刺さっている剣を抜き、アンの母親の振りをして弱々しい声で訴える。

『私を助けて』

このババア!

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