腹黒王太子の華麗なる策略
俺が手を止めると、フィオナは『まだまだ坊やは甘いわね』と高笑いしてスーッと空中に浮かぶ。

余裕があるように見せているが、フィオナも傷を負っていて身体はふらふらだった。

この状態では大した魔法も使えないに違いない。

右手をスウッと上げてフィオナの魔力を奪う。

すると、ババアの顔からアンの母親の顔が剥がれ落ち、しわしわの老婆になった。

それを目の当たりにしたアンは『キャー!』と絶叫し、気絶する。

『アン!』

床に倒れそうなアンを抱き止めている隙に、フィオナは予め準備していたのか、使い魔に運ばれてこの場を逃げ出した。

『魔女め』

チッと舌打ちする。

アンのこともあったし、俺は深追いしなかった。

それに、あのババアはもうたいした魔法も使えないはず。

悲しみに打ちひしがれている暇などなかった。
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