腹黒王太子の華麗なる策略
クリスは苦笑する。

その言葉を聞いて、彼も苦悩しているんだと思った。

普通の人間なら強大な魔力を考えなしに使って、すぐに身を滅ぼしているだろう。

クリスは、ずっとひとりで自分の中の悪魔と戦ってきたのだ。

「アン、来なさい」

ラミレス王は剣を鞘に収め、私を呼ぶ。

「はい」

返事をしてラミレス王の元へ行くと、彼は聖剣を私に差し出した。

「お前に授けよう。これがあれば、この男の悪魔も祓える」

「あ、ありがとうございます!」

私は両手を差し出して、しっかりと剣を握った。

以前、ディオンの剣を握らせてもらったことがあるけど、両手で持つのも大変だった。

でも、この剣は違う。

私でも片手で持てるくらい軽い。

「私はずっとお前が来るのを待っていた。もうこれ以上ここでこの姿を保てない」
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