腹黒王太子の華麗なる策略
私にそう伝えるラミレス王の身体が次第に透けていく。

嘘でしょう?

せっかく会えたのに。

「……これでお別れなのですか?」

不安な顔をしてラミレス王を見上げれば、彼は愛おしげに私の頰に手を添えた。

「またいつかどこかで会えるだろう。早くここを出なさい。その剣を探しに、邪悪な心を持つ者が近くに来ている」

ラミレス王の言葉に、クリスと顔を見合わせた。

きっとシャメル国王とフィオナだ。

「早くここを出よう」

クリスが私の手を握る。

「うん。お父さん、また!」

また泣きそうになったが、必死に涙を堪えラミレス王に向かって微笑んでみせた。

ラミレス王は私に優しい笑顔を向けると、この場から姿を消した。

ひょっとして、ラミレス王は……父は、私にこの剣の使い方を教えてくれたのではないだろうか?

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