腹黒王太子の華麗なる策略
感傷に浸ってはいられない。

「行くぞ」

クリスの声でしっかりと剣を握り、走って洞窟を出る。

モコもラミレス王と一緒にいなくなるかと思っていたけど、私達について来た。

クリスが魔力で滝を止め、私の身体を抱き上げて平地に瞬間移動する。

すると、ラミレス王が言っていたように、目の前にはシャメル国王とフィオナがいた。

「嗅ぎつける鼻は持っているようだな」

シャメル国王とフィオナ達を見てそんな皮肉を口にすると、クリスは私の身体を隠すように前に出る。

騎士は三十人はいそうだ。

シャメル国王の剣の腕前は相当だ。それに、フィオナもいるし、騎士もこんなに大勢いる。

多勢に無勢。

クリスが全開で魔力を使えば、倒せなくはないのだろうけど、彼に魔力を使わせたくない。

フィオナがいるから全く使わないというのは無理な話だろうけど……。
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