腹黒王太子の華麗なる策略
俺は椅子の肘掛けに片肘をつき、補足説明をした。

「ババアって……フィオナか。この三年間大人しくしていたと思ったら、ついに報復に出たってわけか。しかも、結婚なんて兄上の弱点をついて。ババアも考えたな」

ディオンは俺にはアンがいるから他の女との結婚を避けていることを知っている。

「ほお、いつからお前はババアの味方になったんだ?」

すうーっと目を細めてディオンを見れば、こいつは激しく動揺し、必死に言い訳した。

「ち、ちょっと待ってくれ。誤解するなよ。ただババアにしては頭使ったなって思っただけだろ?笑みを浮かべて殺気をみなぎらせるなよ。怖い」

「俺は今、すこぶる機嫌が悪い。言動には気をつけるんだな。命の保証はないぞ」

冷ややかにディオンに注意すれば、こいつはボソッと呟いた。

「……横暴過ぎだろ。アンがいるのに勝手に結婚決められて苛立つ気持ちはわかるが」
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